ある日の美術

仙台にいて絵を描いたり書をやりながら、もろもろ美的なことを研究してます。

ジャズと色塗りと

ジャズと色ぬりは似ている、と思う。

ジャズは音が微妙にズレていく。それが心地良い

色塗りも同じことが言えるかもしれないな。

ある決めた計画にしたがって色が塗られると、とてもつまらないものになる。

だから、適当に無計画な感じでやっていく。しかし、適当過ぎると絵が空中分解する。

ジャズは即興性が強い音楽だ。

色塗りも即興性が強い芸術だ、と思う。

色塗りの計画性は意味がない。何故なら常に錯覚を伴うからだ。錯視があるために順番に描き進めることが出来ないのです。だから全体を同時進行で描くことになる。

僕は日頃ジャズを聴きながら、色塗りもジャズのようにいかないものかな?と思うことしきりです。

それである時、Youtubeでジャズの構造というか基本みたいなものを知っておきたいな、解説したものが無いかなと探しました。

それで坂本龍一音楽の学校という動画を見つけました。

観ていると僕にとって色塗りに参考になりそうなところが沢山ありましてね、それを抜粋してテキストにし残しておきたい。

動画からテキストにしたために意味不明なところがあるかもしれませんが、ご了承ください。

 

以下、坂本龍一音楽の学校(jazz第1回)より

 

坂本龍一
ジャズとは何でしょうか?

 

山下洋輔
いろいろ調べると、やはりアフリカとヨーロッパが新大陸で出会った。
アフリカの人たちがヨーロッパ人によってアメリカに連れてこられた。
人類の一番歴史の不幸な部分ですが、あれがあったおかげでこの世界に誕生したんだ。という実に数奇な歴史を持つ音楽なんだなというところがまず分かってきましたね。

 

坂本龍一
んー、それはこの21世紀の今日でもアフリカとヨーロッパの文化遺伝子が、まぁ残っているという。

 

山下
ある民族と西洋音楽との出会いというのは世界中で起きているんですが、それがこれほど広く強く世界中にね。

 

坂本
維新の時には日本の音楽とヨーロッパの音楽も出会っている。

 

山下
出会っていて、同じような現象を起こしているんですよ。

 

坂本
それじゃ、日本の出会いが世界に伝播したかというとしてないようですね。
やはりアフリカとヨーロッパという、その巨大な文化と文化のぶつかり合いということが、しかも新大陸で起こったという。

 

山下
新大陸で起こっていまだに続く人間の、その何かダイナミックな歴史の文化衝突みたいなものなんだと思うんですね。

 

山下
やる度に違っちゃうんですけど、今のはこういうものが出来ました。
ジャズっていうのは、ああやって色んな風に自分の好きなように弾けるんですね、それを即興でやっていく。そのやり方っていうのが色々あって、変な音が出てきたりしたでしょう?ああいうのはブルー・ノートといってアフリカから来た音です。それからリズムもアフリカから来たリズムです。

 

坂本
山下さんの左手で弾いていたドミソドファラシレソというのが、まぁヨーロッパ音楽ですね。
それで右手で弾いていたのがアフリカ的な音というんですかね。
違うとこのものが、こうガシャっと合わさった、というをやってくださったわけです。

 

ナレーション
ジャズという音楽が誕生したのは20世紀の初めです。
1917年にオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドが「ジャズ」という言葉を初めてレコードで使用し大ヒットしました。これをきっかけに「ジャズ」という言葉が広がったのです。

ジャズが誕生する前の19世紀末、アメリカでは新しい音楽が育ち始めていました。
ブルース、ラグタイム、そしてニューオーリンズブラスバンドによるマーチ。これらが後にジャズを生み出す母体となりました。

ブルースのルーツは奴隷たちの労働歌です。やがて西洋楽器が普及し労働歌の節に楽器の伴奏が加わっていきます。これがブルースに発展したのです。

20世紀の初めニューオーリンズでジャズが誕生した。

 

ジャズの音楽的特徴で代表的なものはブルー・ノートと即興演奏です。
ジャズやブルースに多用される独特の音がブルー・ノートです。


例えばハ長調の場合、西洋音楽で使用される音階は原則としてドレミファソラシです。
この音階に半音下がったミとシが加わると西洋音楽には無い独特の響きが生まれます。
この、半音下がった音をブルー・ノートと呼びます。

 

実際に演奏される場合この音階のうち次の5つド、ミ♭、ファ、ソ、シ♭の音が頻繁に使われます。

 

山下
つまり西洋の要素というのがこれです(演奏)。これにアフリカの民謡の節ですね、それが一緒になるでしょうか?(演奏してみる)
下にドミソとか鳴っているのに、こんな変な音楽が出来る。

 

大谷
これは機能和声的には間違いになります。

 

山下
これが何故成り立つのかについてはですね、バッと切ったところで間違っていてもこっちへ来たい。和音もこう終わりたい。終わるところへ向かって二つの全然別々の要素が進行してくるんです。それでここで終われば、ここの間では何が起きてても良いんです。
それが私の拡大解釈なんです。まぁ曲解ですね。
下にいくら西洋の論理が流れていようとも、上で自分勝手なことをして良い。
二つのものはいつも激突していて、そのダイナミックさがジャズなんだっていう風に解釈してしまっている節が自分もあります。

 

ナレーション
ブルー・ノートの起源は労働歌にみられるアフリカの節回しであると考えられています。
実はこの労働歌にはジャズに欠かせないもう一つの重要な要素が含まれています。
それがコール&レスポンスです。
コール&レスポンスとは「呼びかけ」に対し「答える」という即興演奏に欠かせない音楽の基本的な形です。

 

山下
即興で音を創っていくことを楽しむっていう態度が人間の中にある。
楽譜だけを見てやる音楽もそれは素晴らしいけれども、そうではなくて、その場で何か自分がやりたいことをやったら、みんなと一緒になれて嬉しいという、そういうやり方の音楽もあるんですね。
それはジャズをやる時の一番の基なんです。

 

ここでコール&レスポンスを体験するワークショップを始めた。
まず山下さんはレスポンスのフレーズを会場の参加者みんなに指示して、それを演奏してもらう。
順序として山下さんと坂本さんがコールのフレーズを弾いたら、それに対してレスポンスのフレーズで応える、という風に演奏することにする。

坂本
それで(これを演奏していると)、ずっと同じだからつまらなくなっちゃうでしょう?
あの(だから)、自分で少し変えて良いよ、好きなことやって良いよ。

大谷くんにコールをやってもらおう。
それでみんなはレスポンスをやる。

 

山下
タンバリンの人にリズムをキープしてもらいましょう。

僕らが主にやっていたコールのところを思い切ってワー!!って吹いちゃう。
何吹いても応えてくれるから成り立つんです。

僕と坂本さんはここぞとばかり大暴れしてましたけど、ちゃんと応えてくれるから、成り立つんですね。

坂本

(演奏して後)うん、楽しいね。

 

坂本、大谷、山下鼎談(コミュニケーションとして発展するジャズ)

大谷
大きいのはヨーロッパの人々もアフリカの人々も自分の生まれた土地じゃない。

坂本
そういうところで出会っている。

大谷
それで、移民の国ですよねアメリカは。
様々なところから来た人たちが、これから自分たちのものを作らなくちゃならないという意識が特に20世紀にあって、しかもその時に、たとえば農村というコニュニティーがしっかりしているところよりも都市の隣に誰が住んでいるのかもわからないことが多い。で色々コニュニティーがすごく重なりながらぶつかってる街、都市というところで必要となった音楽の中に、そうしたアフリカ系の要素とヨーロッパ系の要素がぶつかりながら新しいものが出来ていくという可能性があった。