色塗りに大切なこと
色ぬりには大切なことは色だけに色々とある。
色を塗るわけだから、画材に対する理解や使い慣れることも必要だ。しかし実際に色を塗ることとは直接に関係しないものも多い。
アートの分野にコンセプチュアル・アートというものがある。日本では概念芸術、観念芸術と訳されることが多いらしい。
河原温(上)と中林梧竹(下)のコンセプチュアル・アート作品
それは考えていること、あるいはコンセプト、動機、着想がもっとも重要であるとするもので、表現された「それ」自体がコンセプチュアル・アートである。
色塗りは思考を越えて表現される芸術だ。
さぁ、何も考えず、おもむろに色塗りを始めてみよう。
この時点で、多少何かしらのコンセプトを色塗りは要求する。たとえば、赤色でも塗ろうかな?など。だがそうやって始めたとてすぐに、考えても考えが及ばないことが即座に理解されよう。しかし、
それでもなんとか仕上げて出来た作品をよく見れば確かに思考の跡が発見できる。それゆえコンセプチュアル・アートである、と思うのだ。
絵を描く画家に限らず、色を扱う者が色彩を使うときに最も重要なこと、それは「色の本質や性質を知り、色をよく見ることが出来る」のかどうか、にかかっている。
「よく見る」ということは「正確に色を見る」ということ、「理解して色を見る」ことを指す。
色で何かしら表現することは、その後のことで「色の本質や性質を知り、色をよく見ることが出来る」なら自然と表現に叶う色使いをするようになるものだ。
過去の芸術家は幾度となく観察と実験をくり返し、色の本質をつかもうとしてきた。
そして現在の芸術家も将来の芸術家も、過去の芸術家が色の本質を探ってきた同じ過程を体験しなければ、彼らの色使いを理解することができなだろう、と思う。
色を扱う時には誰しも多くの疑問が頭をよぎるでしょう。
たとえば、どうして色が見えるのか?光と闇の関係、電磁波と光、目と脳の構造と関係、色の対比や錯視、色彩が人間の心理に及ぼす影響、五感と色彩の関係、色と歴史的な背景などなど、沢山あります。
その上で色彩の研究は歴史をひも解けば、芸術的側面と科学的あるいは数学的側面から、あるいは哲学的側面からのアプローチ、心理学などによって探求され結びつき発展してきたのでした。