よく色をぬるんです。
とは言え、誰でも色を塗れば塗れるんですけどね。
誰でもできる。
何も考えなくても勝手に出来上がるかもしれません。
しかし、そうして出来たのを見ると、確かに何も考えていないのが明らかに表現される。
今度は、色々考えながら色を塗る。
そうして出来た絵は、悩みながら描いた絵に似たものになって。これじゃダメだ、と思う。
それで僕は何度も、
頭をかしげて不思議な物思いに沈む。
それで僕は、色だけ塗っていくだけで色は塗れないんだな、と気づいた。
それで最後には色を塗るってことを念頭に、人を描いたり、風景や、抽象画や、模写や、花などを描きまくる。
あるいは、文字を書いたり、数学や読書したり、キャンプしたり。
何でもいいから、やれることは、みんなやらなくちゃ。
そうしてようやく色が塗れる準備が整うらしい。
つまり色を塗るって行為はコンセプチュアル・アートなんだな。
概念を芸術化する。
考えてることを視覚化する。
それでいて、色ぬり絵を描いているときには何も考えちゃいけない。
だからきっと体に溶け込むものが沢山必要なのかもしれません。
たった一色をぬったとき、すぐさま次の感情や思考が働くようでないといけないみたい。
色ぬり絵は、常にそれを僕に要求する。