ある日の美術

仙台にいて絵を描いたり書をやりながら、もろもろ美的なことを研究してます。

表現の方向性と展開

色彩や絵画、その他さまざまな芸術表現においてどのようにすれば魅力ある作品になるのでしょうか?

そこで、その公式となるような手法をひとつ考えてご紹介しましょう。もちろんこの方法が唯一というわけではありませんが、一つをベースとすることで次の発想の助けになるということがあります。

 

色彩に限らず芸術世界の表現の方向性と展開について考えていきましょう。
仮に色には「三原色」があるという自然的事実から発想を出発してみます。

三原色は、つまり3つの方向性とも考えられますよね。そこで仮説を立てます。

 

仮説:ひとつの作品であっても、その中において表現に「3つの方向性」を持たせて展開されるのを基本とし、最低限の展開ということに決めます。

 

まぁ、色彩の世界に限らず、3つの方向性あるいは3つの視点から表されるものは多いでしょう?

 

例えば

 

誰かにある品物の形や雰囲気を見せるために写真を撮るとしよう、その場合3方向から撮影して示せばおおよそ全体を把握することが出来るでしょう。

あるいは数学の解析幾何学の世界では、座標を使って一つの物の位置を3点指定し表現する。
たとえば部屋の電灯の位置を指定するには、まず伝統の真下の床の位置を決め、そこからどれだけ高いところにあるか示せばよい。
空間の位置を指定する場合も同様にx軸とy軸とで決まる平面(x-y平面と呼ばれる)上の点P'を決め、そこから上下方向すなわちz軸方向に移動した分を指定すればよい。

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上の図のPの座標はP(2,2,3)となり、平面の点の座標にz軸の座標が付け加わった形で表される。さらにP'はz軸方向への移動した分が0(高さ0)と考えることが出来るのでP'(2,2,0)と表される。このようにして、空間上のすべての点は(x,y,z)という形の座標で表すことができる。原点は、O(0,0,0)である。こうして示す3点は、3つの視点、3つの方向性とも言えまいか?

 

パウル・クレーは19世紀はじめころドイツのバウハウスという学校で教鞭をとっていました。
彼は抽象画を構成する考え方を3つの方向性(3つの視点、あるいは3つの世界)を示して、そこから絵画を構成していくことを生徒に教えたようでした。
一つは能動的と呼ばれる展開で、一つは受動的、そしてその中間的とされる展開を示しました。
能動的、能動的なものと受動的なものの中間的なもの、受動的。
これらは言葉の意味にとらわれければ、つまり「3つの方向性」と訳すことができよう。
例えばそれは「始まり」があり「終わり」があり「その過程」があるということもできるだろう。

そう考えていくと、あらゆる世界や、体験、考えを表現の方向性として3つの視点で展開していくことが出来るかもしれません。

 

例えば①「点」と②「線」と③「面」という視点(方向性)を考えたとしよう。

それで下図で示すように①、②、③の方向性を合わせてひとつの作品(世界)を表現(展開)していきます。

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