台車がありました
あるところに、台車がありました。
僕は昔、溶接工をしていたことがあって。
鉄が電気で溶ける様は、何度見ても驚きがあるものです。
鉄に電気が流れるだけで、ベロっと溶けるんです。え?!と思う。
それで、こうした台車を作ったことがあります。僕はアングルという画家がいるんですが、いやいや、それじゃなくて、L型の断面の長いやつをアングルって言うんでした。
それを切ったり曲げたりして溶接して作るんです。上を作業台にした感じで、下部分がこの台車のような風にしたのでした。
溶接すると熱が入るので、直角にくっつけたつもりが、直角になってなかったりして。
丸いパイプの方がなんか、現代的に見えますね。
台車の下にはタイヤが付いています。
作るときにはどんな大きさのものも取り付けることができます、当たり前ですけど。
あんまり小さいタイヤだと、すぐ壊れちゃいます。
大きすぎると、不安定になることもあります。そんなこんなで、いろいろ考えなくちゃならなくなるんです。
どういう場所を走るのか?
乗せるものは平均してどのくらいの重さなのか?とか。
しょっちゅう、動かすのか?それとも半月に一度くらいしか動かさないのか?
まぁ、いろいろありますよね。
そういうわけで、台車みたいにたいしたものじゃなくてもさ、人が作ったものっていうのは見るところがあるんですよね。
つくる人の哲学が表現されているものです。
そういうところを絵描きとしては、日ごろから見逃さないようにしたい、と思う。