脱陳腐
ゲーテは「芸術とは美であるよりもはるか以前に造形であり、しかも美術に劣らず、いな往々にしてそれ以上に真実であり、偉大である。
なぜなら人間のうちには造形的な本性が宿され、それは人間の存在が確保されるや、すぐさま活動を始めるからである。
心配や恐怖が無くなるやいなや、安らぎつつも活動するこの半神は、周囲の素材に手をのばし、
そこに自己の精神を吹き込もうとする。
それゆえ未開人は怪奇な輪郭、恐ろしい形姿、強烈な色彩によってヤシの実や羽根や自分の身体に模様を描く」と。
絵とは、このような感覚で描かれねば良いところが表出されないな、と思う。
理解されるよう、綺麗に見えるよう、として頑張るほどに美としては陳腐になってゆく。
たとえば賞状に書かれる文字がこれにあたる。
賞状は、その目的として綺麗に端正に書かれる必要があって、美に似て非なるもだ、と思うんだ。