ある日の美術

仙台にいて絵を描いたり書をやりながら、もろもろ美的なことを研究してます。

大津波の遺産

よく見ると、最上階だけが無事だった。
震災から二年目のある日。まだ、被災直後のように、そこに居る。

東日本大震災で津波で被災した住宅の写真
たしか南三陸町で、海から約1kmのところにそのマンションが建っていた。
津波ってすごいな、と思う。
代表的な地域にひとつづつ、

 

こういった遺物を保存すべきなんだ。二〇年後、三〇年後、重大な意味を持つのだから。

前例はあるのだし。原爆ドームという。その悲惨さは他の追随を許さないではないか。

それは時間をかけて人々の中に悲惨の証から希望の象徴となってゆく。
自分が苦悩の底で喘ぐとき、それを超える悲痛の体験が励ます。この苦しさと、あの悲惨、苦痛。比較する中で闇の中の蝋燭になる。我が身に寄り添う友達になってくれるんだ。

ベートーベンがそういう存在であるように。ゴッホがそうであるように。苦しみは後の苦しみの希望の灯台になる。